【建築構造設計インタビュー】
構造計算プログラムの開発担当者様にインタビューしました。

 

令和2年7月23日

 私達、構造設計者が仕事をする上で最も重要な道具である構造計算プログラム。しかし、私達は構造計算プログラムは、どのように作られているのか、どのような人が作っているのか知っていません。

 今回、高性能で評判の一貫構造計算プログラムASCALの開発担当者様(アークデータ研究所)にインタビューさせて頂く事が出来ましたので、その辺りを聞いてみたいと思います。構造設計者であれば、誰もが興味ある内容です。

 ASCALは三大一貫構造計算プログラム(Super Build、Build一貫、Bus)より、後発ですが、その性能の高さでシェアを伸ばしているプログラムです。

 アークデータ研究所は、一貫構造計算プログラム「ASCAL」、木造一貫構造計算プログラム「ASTIM」などのグリッドに制約されない共通の入力形式から互換性を持つ建築用計算プログラムAspaceシリーズ、 AutoCADやIJCADなどの上で稼働する2次元建築CADソフトadpackシリーズなどを提供しています。



構造計算プログラム開発者は構造設計の実務スキルとプログラム開発のスキルを持ち合わせている。

─ 初めまして、本日は宜しくお願いします。構造計算プログラムを作っている方のお話を聞くのは初めてで非常に楽しみにしています。

 早速ですが、構造計算プログラムを作っているのはどのような方なのでしょうか?
 建築基準法、建築学会基準を始め様々な構造設計に関しての知識があり、そして、プログラムを作るスキルを身に付けていると思います。私達からすると想像も付かないレベルです。


プログラム開発の中心になっているのは構造設計の実務経験があり、プログラム開発もできる者です。弊社でASCALを開発する前は、他の一貫構造計算プログラムの開発に長く携わってきた者もいます。

 もちろん、一貫構造計算プログラムのような大規模なプログラムはひとりで開発できるはずもありませんし、社員全員が建築構造に長けているという訳ではありませんので、構造設計の業務を数多くこなしてきた人間が仕様作成を担当するだけでプログラムの作成は行わないこともあります。プログラム作成も、ユーザーインターフェイスに関わる部分、計算に関わる部分等、その処理に精通した人間を的確に割り当て分担して開発しています。

 弊社の中には構造設計部門も存在し、構造設計業務をご依頼いただけます。そういった業務の中で、弊社の業務と合わせて交流会などを通じ、より構造設計者目線でよりユーザーフレンドリーなシステム開発をすることを心がけております。」

─ 構造設計のスキルを身に付けるだけでも大変なのに、その上でプログラム開発のスキルも修得すると言うのは大変ですね。 大学は建築学科だったのですか?プログラム開発のスキルはどのような所で学んだのでしょうか?

「大学は建築学科卒の者が多いです。その中で開発技術については大学の研究でプログラムを学習したり、専門学校などに通ったりをして学習しています。当社でも学習の機会は多く設けていますが、基本的にプログラムは手段ですので、建築構造の知識のほうに重きが置かれます。

─ たぶん、聞いても判らないと思いますが、ASCALは何のプログラム言語を使っているのですか?プログラムを作るための専用のソフトなどがあったりするのでしょうか?

「言語というのは開発環境に依存します。弊社の場合ですとWindows用のプログラムですので、相応の言語を使用します。大規模プロジェクトにとっては言語は『これだ』と断定は出来ません。なぜなら開発者によって得意不得意の言語もありますし、言語によっての機能的な面で得意不得意もあります。そのためプログラム全体では多くの言語を使用したプロジェクト構成になってしまいがちです。ただし、ある特定の人間しか触れられないようなマイナー言語は使用しません。連携が重要になると思います。」

─ すいません。やっぱり、理解出来ませんでした。(笑)

構造計算プログラムの応力解析部分は多くの知見と長年長年培った研鑽により作られている!

─ では構造計算プログラムの開発方法について、お聞きします。

 素人考えでは一貫構造計算プログラムを作成する中で技術的に一番難しいのは応力解析の部分だと思うのですが。これは各社、一から作るものなのでしょうか?それとも既存の応力解析プログラム(ソース?)を利用しているのでしょうか?
 Super Build、Build一貫、BusにはないASCALにあるグリッドフリーによる解析のプログラムとは難しい技術なのでしょうか?


「基本的に解析部分の計算は多くの書籍、多くの基準書を参考にして開発されています。弊社の場合も同様に自社での開発になります。もちろんこの解析部は長年培った研鑽と修正を加えた部分となりますので、一朝一夕に出来るものではありません。一般に公開する気にはなれませんし、弊社で言うとグリッドフリー形状の環境にあった応力計算を構築することが第一の要求定義となりますから、なかなか既存のものというのは難しいのではないでしょうか。」


ASCAL

グリッドフリーの一貫構造計算プログラム
 ASCALはグリットに制約されない軸によって形状認識する建物の一貫構造計算を行うプログラムです。層・層-軸・軸の一貫設計プログラムの入力の容易性と、汎用解析プログラムの制限のない自由形状入力の両方の利点を兼ね備えた、今までにない一貫構造設計プログラムです。


─ 構造計算プログラムによる検討、解析結果が正しいか、妥当であるかのチェック、テストを行っていると思いますが、それはどのようにして行うのでしょうか?

「一般的に大規模なプログラムのテストの方法はプログラムを構成する小さなプログラムのテストを綿密に行い、これらを結合して各インターフェイスとなる部分の確認を行い順次規模を拡大して最終的に全体を完成させ、全体の確認を行うという方法がとられます。

 一貫構造計算プログラムでも例えば応力解析のソルバー部分、断面計算の柱の曲げ耐力算定部分等の基本となる部分は他の応力解析プログラムとの比較あるいは手計算等により詳細にチェックします。最終的な建物全体の解析結果については他社様の製品を使わせていただき、同じ建物モデルを入力して結果の比較を行います。結果が一致するということはありませんので、差が妥当な範囲に納まっているかを確認します。」

構造計算プログラムに“不確実性”などはない!

─ もう少し、構造計算プログラムについての一般的なことを教えて下さい。

 一貫構造計算プログラムの“一貫”とは元は荷重計算、CMQ計算、応力計算、断面算定と別々のプログラムであったものが、一つのプログラムで一連で流れるようになった事で“一貫”と呼ばれるようになりました。その当時では難しい技術だったのでしょうか?


「当時の汎用コンピュータの処理速度は現在とは比較にならないほど遅かったですし、記憶容量も大型コンピュータでも512KBと小さなものでした。一貫計算をするためにはどうしてもデータ量が大きくなるため、メモリーを効率的に使用することが要求されましたが、これにはかなり難しい技術が要求されました。」

─ なるほど、ソフト、プログラム側の問題と言うよりもユーザーが使用する端末側の問題もあったのですね。


─ 次に私達、構造設計者の疑問の一つなのですが、全く同じ形状の建物でも構造計算プログラムにより、保有水平耐力の結果などが変わることがあります。構造計算プログラム検討の不確実性などと言われますが、具体的には何が違っているため、結果が変わるのでしょうか?まあ、どのメーカーのプログラムの耐力が大きいかなどは意味がない議論とは思いますが。

「構造計算プログラムは各種基・規準に則って作られていますが、これらには構造計算の手順が事細かく定められているわけではありませんので、色々なところにプログラムメーカーの判断が入っており、この判断の差が結果の違いに表れます。

 これは、構造設計者が手計算や単体のプログラム組み合わせて計算を行うときにも同じことが言えます。具体的な例では、構造モデルの作成方法に違いがあると応力解析の結果だけではなく、断面算定の結果、保有水平耐力の結果まで大きく影響します。この構造計算プログラムによる結果の違いについてはJSCAのプログラム部会に各メーカーが参加して同じモデルの計算を行い、機関誌structureに結果の比較を掲載していますので参考にされると良いと思います。」

─ 確かにそうですね。同じ基準で構造設計を行っても、結果は構造設計者ごとに違います。不確実性などと言うものではありませんね。

 大臣認定プログラムについて、教えて下さい。ASCALも大臣認定を取得しています。大臣認定を取得するにあたって、性能評価(評定)があると思いますが、どのような審査があるのでしょうか?また、審査をされる委員の先生は構造系以外にプログラムに精通している先生も居るのでしょうか?


プログラムの性能評価は定められた内容に沿って作成した性能評価用提出図書を部会の担当の先生方に説明し、質疑に回答する形で進められます。性能評価の評価基準というものがあり、この基準に適合しているかどうかが審査されます。この図書はマニュアルを包含するもので、その他にモデル建物の計算結果、大臣認定プログラムを使用するときの運用方法等が含まれます。

 また、「評価基準(補足)」(内規)というものがあり、ここに大臣認定プログラムに要求される細かな内容が定められており、プログラムでの対応方法を説明し、適合しているかどうかが審査されます。内規には、基準法施行令等にある仕様規定を満たさないときの扱い、標準的な部材耐力式、標準的なデフォルト値、構造計算書の体裁、チェックリストの内容等が定められています。 委員の先生の中にいわゆる情報処理が専門の方はいらっしゃいません。研究のためにプログラムを作った経験があるくらいです。」



後発メーカーであるが故での新しい技術が盛り込まれたプログラムASCAL

─ では御社の構造設計プログラムについて、お聞かせ下さい。私の会社ではSuper Buildがメインではあるのですが、ASCALも使用しています。やはり、Super Buildでは対応できない、補正計算が多くなる複雑な形状の建物もあります。そのような建物を対応するために社内で協議した結果、ASCALを選択しました。SEINも候補に挙がっていたのですが、NTT Buld時代の“使いづらい”イメージがあったので、ASCALにする事にしました。

 御社(アークデータ研究所)は2000年の設立となっています。一貫構造計算プログラムメーカーでは後発でありますが、後発であるが故のメリットはあったのでしょうか?他の業種では長く行っているとシステムや機械が最新のものでなくなり、生産性が低くなってしまうなどもあります。私が最初、ASCALを見た時は他のプログラムよりも入力が行い易いと感じました。


グリッドフリー形状そのものが後発であるが故、考案された技術になります。軸の定義を自由に行うことでより複雑な建物も入力できるようになり、設計変更なども柔軟に対応できるのはデータ構造そのものから変える必要があります。また入力のしやすさにもこのデータ構造が直結しています。ちなみに、弊社代表は構造計画研究所で構造設計部、EA(ソフト開発)部、研究開発部、解析技術部と渡り歩き、一貫計算プログラムに必要な技術を修得したそうです。構造ソフトではソフト作りのマネージメントを経験し、これらの経験すべてをグリッドフリー形状認識ソフトの開発につぎ込んでいます。

【補足】アークデータ研究所 吉沢社長の経歴
  • S53年4月~H6年4月:構造計画研究所(技師)
  • H6年5月~h22年5月:構造ソフト(常務取締役・開発本部長)
  • h22年6月:アークデータ研究所設立

  • ─ なるほど。新しい構造計算プログラムとは言え、構造計画研究所、構造ソフトでのノウハウが取り込まれ、より良い構造計算プログラムを作るとの思いで開発されたものなのですね、

     ASCALは最初から、一貫構造計算プログラムとして、一から作られたものと思います。
     ずばり、聞きますが、一貫構造計算プログラムASCALを作り上げるのにどのくらいの人数の方が、どのくらいの期間がかかったのでしょうか?


    「基本部の作成は2000~2004年にかけて、S、RC一貫計算に200人月弱、壁式、木造はその後で、基本部の改造を含めて約60人月です。プログラム自体は現在も続いており、基準書の改定、新機能の追加など常に開発が進行しているので人月に直すと想像も付きません。」

    ─ 確かに想像も付かないほどの労力がかかっているのですね。構造計算プログラムがそれなりの値段をするのも納得です。

     ASCALは他の一貫構造計算プログラムと比べ、高性能、高機能です。構造家と呼ばれるような構造設計者も使用しています。最初から、高性能、高機能と言うコンセプトがあったのでしょうか? また、いくつか、他のプログラムにはない機能を紹介して頂けますでしょうか。


    ASCAL以前の一貫計算プログラムと言えばグリッド認識でした。構造設計部時代はNTTのBuild1が唯一の一貫計算プログラムであり、その省力効果は認めるものの、制約の多さに適用できる建物が限られ残念な思いをした方も多いのではないでしょうか。

     研究開発部時代の吉沢は躯体データベースをテーマに研究していました。節点認識についても研究しましたが、設計変更に追随するソフト作りが難しいことに疑問を抱いた吉沢は研究開発部の任意軸線GUI入力のプロトタイプソフトを基にグリッドフリー形状認識Aspaceシリーズのイノベーションへと繋げました。
     所属会社にはそれぞれ既存のプログラムがあり、それらと連携する事を求められるので製品化は失敗の連続でした。
     独立に際し、中間層や斜面概念を取り入れ、グリッドに制約されない軸による形状認識:グリッドフリーをブランド(Aspace)コンセプトにしました。

     グリッドフリーにより適用できる建物形状の範囲が格段に広がったことで、高性能、高機能の評価を頂けているならねらい通りと言えます。

     階段は斜面に配置すると立体的な荷重伝達を行います。これを支える柱、梁に自立指定をすると外部階段は別途計算することなく地震荷重に見込まれます。

     地方では1F駐車場の需要が多いと聞いています。2F以上を壁式にするプランは魅力的ですが、ASCALでは柱を配置しない事で普通に構造計算できます。

     解析節点を通りの交差点に限らず設定できるので、フレーム内壁柱を構造要素として扱う事ができます。袖壁端に解析節点を指定すると柱とは別要素になるので、長い袖壁(断面保持仮定は無理がある)も実情に近い応力解析が可能です。短い袖壁でも柱に先立ち袖壁が曲げ降伏すると考えられ保有耐力が有利になると思います。

     解析要素としての袖壁断面検定を追加予定ですが、大臣認定版では追加機能になるので性能評価申請も合わせてすることになるでしょう。」


    様々な要望の中で自然発生的に構造設計を請け負うようになった。

    ─ アークデータ研究所には建築士事務所として、通常の構造設計を行う部門もありますが、それは構造計算プログラムの開発への相乗効果を狙ったものなのでしょうか?やはり、構造設計の実務を行っていることで構造設計に関連する様々な生の情報も多く入ると思います。

    「仰るように、開発の相乗効果を狙った目的もあります。また、新規の工法や複雑な建物などで、どうしても使い方に難があるユーザー様にはカスタマイズリースという形でソフトを提供した上で誰よりも仕様を把握している弊社の方で構造設計を受注することもございます。新規開発のものですとその理解に発注側も受注側も苦しみますし、妥当性の検証も兼ねてやらせていただければ万一問題が起きた時も社内であれば比較的対応ができます。 意匠設計者からアドバイスを求められたことがあり、若干のソフトの改造を施して当社の構造設計経験者が対応いたしました。自然発生的に構造設計を請け負うようになったという事ですが、今後はカスタマイズリースというビジネスモデルでASCALユーザ様にも工法メーカなどのご要望に応えられるようにいたします。カスタマイズご要望のうち有用なものは一般機能に組み込んでいきたいと考えています。 」

    ─ 他のプログラムについて、お聞きしたいと思います。近年、各構造計算プログラムメーカーも木造構造計算プログラムの分野に参入しています。アークデータ研究所もASTIMをリリースしています。構造設計者の中では木造の構造設計は行わない人も多いと思いますが、木構造、木造構造計算プログラムの需要は増えているのでしょうか?御社ではウッドサロンと言う木造設計交流会も開催されていますよね。
     今までの木造構造計算プログラムは木造プログラム専門のメーカーによるものであったのですが、御社を始め、一貫構造計算プログラムを作っているメーカーの木造構造計算プログラムは今までのものとは別物に思えるのですが、その辺は如何でしょうか。


    当社ソフト以前の木造計算プログラムは、せん断足し合わせ前提の壁倍率(剛性と耐力を一つにしたもの)を指標として使っています。もちろんグレー本もこの前提でまとめられていますが、非住宅中大規模木造にこの前提は通用しません。構造設計では当たり前の46条2項ルートで検討する事がもとめられます。 当社はASCALにおいてS、RC部材に木材を追加して売り出しましたので、当然これは46条2項ルート対応です。一貫他社も同じ経緯での木造製品リリースなら46条2項ルート対応のはずで、この分野の構造設計者が圧倒的に不足している現状には良い事であり、歓迎致します。 木造は構造形式が多様で1種類のオプションで全て扱うのは無理があると考え、ASTIMシリーズをリリースしました。ASTIMは木造構造46条2項ルート対応の先駆ソフトだと自負しており、新オプションを年内にリリースします。乞うご期待。 」

    ASTIM

    今までにない木造一貫構造計算プログラム
     ASTIMは一貫設計プログラムの入力の容易性と汎用解析プログラムの制限のない自由形状入力の両方の利点を兼ね備えた。今までにない木造一貫構造計算プログラムです。混合構造物でも、ASCALの RC / WRC / S のオプションがあれば一貫して設計することができます。

    ─ BIMについて、お聞きします。アークデータ研究所もBIMへの取り組みを行っていますが、他のメーカーも含め、中々、浸透しません。BIMが浸透しない原因はどのようにお考えでしょうか?また、それに対しては、どのような取り組みをされているのでしょうか?

    「意匠ではプレゼン、設備ではスリーブ検討、施工では納まり検討など明確な目的がありますが、構造にはそれがない。加えて構造モデルと3D_CADは相性が悪いと考えられているからでしょう。
    何故相性が悪いかと言うと、変位法マトリクス解析における節点に由来します。つまり部材芯が一点に集まる必要があるとする固定概念が相性が悪いと考える原因です。

     解析技術的にオフセット解析でこの点は解消できるのですが、一貫ソフトでこの機能を持つものはASCAL以外にないと思います。 3D_CADの形状をそのまま一貫計算モデルで扱えると意匠・構造の連携がスムーズになり構造設計受発注の判断がしやすくなります。弊社はASBIMと言う意匠・構造のデータ連携を支援するサービスを行っており、高価な3D_CADを購入しなくてもBIM対応をいう事ができます。 」

    ASCALが大臣認定を取得したことで制度を実のあるものにすることが出来る

    ─ 最後に構造計算プログラムを利用する構造設計者にメッセージをお願いします。

    「弊社では姉歯事件以後クロスチェックの必要性をことあるごとに言ってきました。
     クロスチェック費用を施主様に納得してもらえるならの考えで、弊社での料金をHPに掲載しています。ASBIMのターゲットは意匠設計や工務店であり、BIMを背景にした構造設計受発注を判断する場合の一助になると思います。

     大臣認定プログラム制度は顕在化したバグの扱いに齟齬はありませんが、潜在バグについては不問です。とはいえ、危険側の潜在バグに触れた構造計算で安全性に問題のあることが判明した建物に対する行政側の扱いは異なります。認定プログラムによる確認申請であった場合は合法であり、壊し命令の可能性はありませんが、非認定プログラムの場合は違法であり、その可能性を排除できないという事です。

     一方、認定が取り消されたVerで確認が下された建物は適格とは言えない状態になり転売や大規模修繕を行う場合の課題になります。大臣認定制度が普及しないのは顕在化するバグの取り扱いが複雑で容易に理解出来ないこともさることながら メーカーのバグ対応負担が大きいからです。弊社は クロスチェク前提の大臣認定プログラム制度の運用を各方面に働きかけています。

     ASCALが大臣認定を取得したことで制度を実のあるものにすることが出来ると考えています。他社一貫ソフトのデータをASCALデータに変換して大臣認定プログラムによる建築確認申請をすれば、それはクロスチェックしたに等しい。 それにより構造設計者も印刷・保管すべき構造計算書の頁が少なく(当社比40~50%減)なる等のメリットも享受できます。

     大臣認定プログラム制度を施主等に説明するのは、構造設計を生業にするものの責務ではないでしょうか? BIMの普及を背景とした一貫ソフト間のデータ変換が容易になってきています。ASBIMサービスをご検討頂けたら幸いです。 」

    ─ 本日は貴重なお話をありがとうございました。




    アークデータ研究所の製品、サービスに関するお問い合わせは以下より



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