建築構造設計べんりねっと


 伝説の構造家Y田氏

平成23年12月8日

 以前、建築構造設計べんりねっとで「No1構造家は誰だ」と言う企画を行ないましたが、 大事な彼を忘れていました。私の友人のY田氏です。
 彼こそが理想の構造設計者、伝説の構造家です。(←本当?)彼の数々の伝説?偉業? を紹介したいと思います。
 この企画は基本的には本人の了承を貰っていますが、本人からの申し出により、途中で 終了する事もあります。。。
LEGEND−1「完璧な構造解析モデル」
 伝説の構造家Y田氏は完璧な構造解析を行なう。まず、こだわるのは架構のモデル化。
一貫構造計算プログラムの計算条件で考慮の有無の選択が出来るものは当然、すべて 考慮する。そして、以下のような事も日常的に行なっている。
・支点(基礎)の鉛直バネを考慮する。
・鉄骨造では全ての節点の剛床を解除し、床ブレースの考慮を行なう。
・RC造でフレーム外雑壁や開口部はどんなに小さいものでもミリ単位で寸法にこだわり、
 正確に入力する。SS3のグラフィック出力は、そのまま構造図に出来るくらいの美しさだ。

 こんな入力をするのでグリット数が異常に増えてしまう。(笑)

「そこまで遣って意味あるか?」と聞くと彼はこう答える。
完全な構造解析など無いのは判っている。しかし、様々な事を考慮する事で僅かずつ  だが、正解値に近づく。

 彼は神の領域を目指している。

LEGEND−2「複数の計算条件で件する」
 解析モデルについてもそうだが、計算条件も様々なパターンで検討を行なう。浮上りの 有無は当然として、一つの物件で10個くらいのSS3データを作る。場合によっては違う 一貫構造計算プログラムでも検討する。

 一つの物件で確認申請にSS3の出力を4つ付けて、E○Iに怒られた事がある。(笑)

LEGEND−3「木造住宅の基礎も沈下計算」
 伝説の構造家Y田氏はスウェーデン式サウンディング試験しか行なっていない木造住宅 の基礎に対しても沈下計算を行なう。
 あくまでも換算値での検討なので、実情と大きくかけ離れた値になる事も多い。

「そこまで計算したいんだったら、全部、圧密試験をすればいいじゃないか?スウェーデン 式サウンディング試験から検討しても意味ないのでないか?」と言うと彼はこう答えた。
元請の予算の関係でそこまで出来ない。限られた予算の中でもベストを尽くすのが
 構造設計者だ。


 最大絶対沈下量が10cm近くでOKとしていた計算結果に対しての説明に苦労していた。

LEGEND−4「経済設計を行なう」
 伝説の彼は経済設計も忘れない。
 経済的な設計を行なうために梁などの符号をかなり細かく分けてしまう。基本的に少しでも 条件が違う部分は違う符号を付けて断面算定を行なう。よって、整形なマンションでも大梁の 符号が10種類くらいになってしまう。(笑)

 耐圧版の配筋の分け方もも短辺長辺・上下のみではなく、端部・中央・隅部も分けてしまう。
これについては現場から、「モチアミ配筋にさせてくれ。多少、鉄筋量は増えても複雑な配筋 する手間を考えたら、その方が安くなる。」と言われたらしい。
 また、スラブの配筋ピッチをD10@170とした事も現場から「手間の方が高い」と苦情がきたそうだ。(笑)

 彼に言わせれば、少し気を使えば良いだけで150ピッチも170ピッチも手間は一緒とのこと。
きっと、現場は150ピッチで配筋しているのだろう。(残念!)
LEGEND−5「強靭な体力」
 伝説の彼は構造設計の技術だけでなく、強靭な体力を持っている。
用事が無い限り、年中無休でほぼ毎日12時過ぎまで仕事をしている。徹夜もいとをも思わない。
(まあ、こんなに手間のかかる仕事のやり方をしてたら、時間もかかるか。/笑)

 しかし、いつ電話しても連絡が取れ、急な仕事でも請けてくれる構造設計事務所として仕事が絶える事が無い。
LEGEND−6「中低層でも応答解析」
 どうやら、伝説の彼は中低層の建物や木造住宅でも応答解析をしているようだ。
 確認申請に参考資料として応答解析結果を付けて、またも確認審査機関から怒られた と言っていた。(笑)

 ちなみに彼は本当に応答解析が必要な建物の設計をした事はない。
 なのに応答解析のプログラムを持っている。他にも少し変わった形状のスラブなどもFEM 解析をしている。どう見てもただの趣味としか思えない。

 木造で応答変位が層間変形角で1/10とかになってしまった事に真剣に悩んでいる。。。

続く。。。

LEGEND−7「新工法」
 伝説の構造設計者Y田氏は常に新しい工法、技術の進歩を追い求めている。 インターネットや雑誌などで新しい工法を見つけるとすぐに飛び付く。

 軟弱地盤でも杭が必要なくなる基礎工法、各種の鉄骨接合部の工法、新しい構造形式・・・
 そして、それを提案するのだが、採用された事はほとんど無い。まあ、採用されなかった理由のほとんどはコストだか。
 新しい工法を見つけると私にも「こんな工法を見付けたんだけど、どうだろう。理論的には間違いないと思うけど」と聞いてくる。

「そんなので良いなら、誰も何十mの杭なんて打たないよ。理由は合っててもそんな上手くいくか?それにそんな良いものなら、みんなが遣ってるよ。」と私は親切に答えてあげる。(笑)

 しかし、彼は諦めない。数年前、ある工法の協力事務所に登録し、講習費用を払ったが、一棟も依頼は来ていない。



  

  構造家 Y田氏

  いまいち似てないなー。

  







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