建築構造設計2040年
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建築基準法、確認申請のシステムはどのようになっているか?


平成20年6月20日 耐震偽装事件〜建築基準法改正、・・・混乱。
 2005年11月17日、大きな社会問題となる事件が起きた。姉歯建築士が構造設計を 行ったマンションの構造計算書を偽造しており、耐震強度が大幅に不足している事が発覚した。 そして、民間の確認審査機関がこれを見抜けず、建築確認の許可を与えてしまった。 この事件を発端に他の構造設計者による数件の構造計算書偽造も発覚した。 いわゆる“耐震偽装事件”である。

 この事件により、に2006年6月に建築基準法が改正された。改正の要点は以下ような 点であった。
 ・設計者、民間確認審査機関の罰則強化。
 ・構造の専門家によるピアチェック(構造計算適合判定制度)の導入。
 ・現場の中間検査等の厳格化。
 ・大臣認定プログラムの導入。
 ・構造計算方法、申請書式の詳細な規定。

 しかし、施行令・告示等の関連法規が出されたのは、法施行の直前であり、また、建築確認審査 ・構造計算適合判定の準備も不十分なまま、改正基準法が施行されたため、建築業界は大混乱に陥る事 となり、住宅着工数は前年同月に比べ、半減する事となった。
 これに対して、国土交通省も対策を講じたが、抜本的な解決にはならず、法改正から1年経っても状況 は改善されず、住宅着工数は半減したままの状態となった。

 批判は国土交通省にも集まったが、魔女狩りのごとく、耐震強度不足の建物を次々に公表し、安全を 求める国民を見方にし、批判をかわしていった。

平成23年2月 世界不況、外圧。
 平成21年、建築基準法改正による住宅着工数激減の経済的な影響が大きく出始めた。

 不動産会社(デヴェロッパー)は土地を仕入れたが、建物を建てられず、金利負担に苦しむ事となった。また、原材料費の高騰の影響もあり、住宅価格は高騰し、販売数は更に落ち込み事となった。 建設会社も受注が激減した。
 そして、平成21年度の決算を迎えられずに倒産をする会社が相次ぎ、日本はまた長い不況へ向かう事となった。

 翌年になると不動産会社、建設会社の倒産の影響は銀行等の金融機関の経営にも影響する事となった。 また、建物が建たないため、土地の価格も大きく下落し、日本の土地に多額の投資をしていた海外の投資ファンドも投資の回収が出来ずに破綻する所が出てきた。

 そして、日本の金融機関や投資ファンドの破綻は世界的な金融不安を引き起こす事となり、不況は世界へと広がっていった。

 平成23年2月、海外の各国より、この世界不況の原因は日本の建築行政にあると槍玉に上げられ、日本は大幅な建築基準法の改正を約束させられる事となった。

 日本は問題があっても、相変わらず、自らを変えられない体質であった。

平成24年6月 建築基準法改正。
 平成23年4月、建築基準法改正へ向けてのワーキンググループが発足した。メンバーは国内の建築関係有識者の他に海外の建築行政関係者も多数選ばれる事となった。しかし、実際の立案作業は海外のメンバー中心に行われ、まるで第二次世界大戦後の日本国憲法改正のようであった。

 建築基準法の改正の焦点は第1段階は建築確認申請及び検査の円滑化を図る事にあてられた。日本における構造技術者数の絶対的な不足が明らかであった ため、構造の審査・検査の数を減らす事を目的にした。改正の要点は以下の点であった。

  • 構造計算適合判定は、高さ20mを超える建物に対してのみ行う。
  • 住宅、事務所、工場等の主に特定の人のみが利用する建物については、建築主の自己責任の元に建築確認の審査及び検査を免除する。
  • 一定以上の技術力、管理能力のある会社に対しては、建築確認の審査及び検査を免除する。
 また、意匠・設備に対しても大幅に審査が減らされる事となった。これにより、仕事量の激減が予想される民間の確認審査機関や中小の建設会社、設計事務所が反対をしたが、海外勢に押し切られる形となり、平成23年12月に建築基準法が改正され、平成24年6月に施行された。




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