建築構造設計2040年 |
構造計算プログラムはどこまで進歩しているのか?
大臣認定プログラムの行方不明は?
2007年の建築基準法改正で導入された大臣認定プログラム制度だが、法改正から約1年後、ようやく各メーカーからのプログラムが出揃った。
しかし、プログラムの適用範囲の狭さ、認定と非認定が別のプログラムになっている事に対する使いづらさ、新プログラム導入費用の負担などの理由から制度の普及が進まなかった。 だが、この認定プログラムが思わぬ所で使用されいく事となった。相変わらずの構造設計者不足の状態に悩む一部の意匠設計者が、認定プログラムによる構造設計、確認申請を始めたのであった。 認定プログラムを使えば、誰でも安全な建物が設計出来る。設計ルート1の建物で認定プログラムを使用すれば建築確認審査が行われないとの誤解のもとに。 すると、プログラム上でOKとなっているが納まりやその他構造上の問題がある建物が続出した。 確認審査機関もさすがに構造を理解しない設計者の申請に対して不適合の判定を次々に出さざるを得なかった。
新大臣認定(自動設計)プログラム
一度は失敗した認定プログラム制度だが2040年には、建築にある程度の知識がある人なら誰でも安全な建物が自動的に設計出来る新大臣認定プログラムが出来ているだろう。
このプログラムは建物規模や建物形状の制限があるものの、ほぼ自動的に構造設計がされ、構造図も作成される。 ・建設地から積雪等の設計条件を判別。 ・仕上げの入力から荷重を自動計算。 ・建物規模からのデフォルト断面から応力計算、断面算定を行い、NGの箇所は自動的に断面を あげ、再計算を行う。 ・部材の決定には構造体の納まりも考慮される。 ・地盤データをリンクする事により、基礎も自動的に設計出来る。 やや不経済な設計となり、融通が効かないが規模の小さい建物の構造設計はこのプログラムで意匠設計者が行うこととなり、構造設計者と呼ばれる人は規模の大きなものや複雑な形状の建物のみを扱う事となる。
未来の構造計算プログラム
2040年には、構造計算プログラムもかなり進歩しているだろう。
1.完全一貫計算 一つのプログラムで二次部材はもちろんの事、全ての検討が出来、計算書がまとまる。 2.完全立体解析 どんな複雑な形状で実形状通りに立体解析出来る。 3.構造図一貫作成 構造図も一貫作成出来るので計算書との不整合も無し。 4.複数の計算仮定に対して解析を行い、最不利な場合で検討が行われる。 5.外部データベース機能 外部データベースにアクセスし、建設地の設計外力、特殊工法等の情報を組込める。 6.自動納まりチェック機能 構造体の納まりが悪い箇所をある程度自動的に検出する。 |