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小梁設計講座
日時: 2017/11/13 22:19
名前: 管理人

「構造設計者になろう!」の構造設計講座の第四弾として、意匠屋さん向けのRCマンションの小梁設計講座を計画しています。

どんな講座にするか、私の覚書の書き込みです。
メンテ

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Re: 小梁設計講座 ( No.1 )
日時: 2017/11/13 22:20
名前: 管理人

「構造設計者になろう!」の構造設計講座の第四弾として、意匠屋さん向けのRCマンションの小梁設計講座を行います。

通常、マンションは階高3m、天井高さ2.4m程度です。そして、小梁のせいは600mm程度です。つまり、仕上げ厚さを考えると天井から小梁の梁形が出る事になります。

この小梁が部屋の真ん中に通ったら、部屋の真ん中に梁形が出たら、照明は付けられない、圧迫感もある、何より、見た目が美しくありません。

通常、小梁は間仕切り壁に沿って、計画しますが、何処に小梁を通そうとしても、どっかの部屋を通過してしまう間取り。。。

「小梁の位置は構造屋さんが考えれば良い事だから、意匠屋には関係ない」

確かに最終的には、そうでしょうが、このような間取りでは、どの部屋を捨てますか?との選択になってしまいます。
スラブを厚くして、小梁を無くす方法もありますが、限度があります。コストも上がります。また、ボイドスラブなどの小梁無しの空間を作れる工法もありますが、これもコストが高い。

つまり、小梁の計画、構造の計画とは間取りを作成する事なのです。

では、意匠屋さん向けのRCマンションの小梁設計講座を始めます。
メンテ
Re: 小梁設計講座 ( No.2 )
日時: 2017/11/15 08:19
名前: 管理人

まず、小梁の役割をおさらいしましょう。
建物(ラーメン構造の場合)は柱とその間を繋ぐ大梁にて、支えられています。そして、その中に床がある訳ですが、通常のスパンですとスラブの強度が不足してしまいます。そこで、小梁を追加し、スラブのスパン、面積を小さくします。

つまり、小梁を配置する間隔はスラブ(床)の強度によって、決定する事になります。通常、RC造のスラブの厚さは15cmから、20cm程度です。スラブの厚さは以下の基準で決定します。スラブの厚さを決める要素としては、強度、たわみ、振動、遮音があります。
強度、たわみ、振動に対してはスラブの短辺長さの1/30以上とします。遮音に対しては日本建築学会の「建築物の遮音設計資料」が参考になります。
これをまとめると以下になります。

表「スラブ厚さと許容スパン、遮音性能」

マンションの多くは遮音性能を向上させるためにスラブ厚さを20cmとしていますが、小梁の間隔を広くし、スラブの面積を大きくすると遮音性能は落ちてしまいます。スラブ厚さを上げることは建物重量を増やす事になり、耐震性能を相対的に下げる事にもなります。
スラブ厚さを20cmなど通常よりも厚くする場合、遮音性能をワンランク上げる面積に抑える事が必要と思います。

メンテ
Re: 小梁設計講座 ( No.3 )
日時: 2017/11/19 12:36
名前: 管理人

スラブ厚さ、スラブの許容スパンを決定したら、小梁の位置の検討をします。小梁と大梁、小梁相互の間隔がスラブの許容スパン以内にします。小梁の向きは平面上、縦方向か、横方向、また、その複合となります。間取りに合わせ、配置する事になります。

小梁の配置を考える前に小梁の大きさ(せい)がどのくらいになるか、考えて見ましょう。小梁の配置方法、つまり、間取りによって、小梁の大きさ(せい)が変わる事になります。

間仕切り壁に沿って、小梁を配置する訳ですが、室内の圧迫感、空間の有効利用を考えた場合、大きさ(せい)は小さいに越した事はありません。また、小梁の大きさ(せい)が大きくなると取り付く大梁も大きくなり、階高が上がります。これより、建物全体のコストにも影響する事になります。一部屋の間取りが建物全体に大きく影響する事になるのです。

小梁のせいの目安は、スパンと小梁の接続状態により、以下になります。

単純梁形式:梁せいはスパンの1/10
連続梁形式:梁せいはスパンの1/12

まず、スパンを大きくすると小梁のせいが大きくなってしまうのは判ると思います。接続状態について、説明します。この二つは構造モデルにすると下図のようになります。応力(曲げモーメント)も合わせて表記します。ここで同じスパン長、同じ荷重とすると連続梁形式にすると曲げモーメントは10/12になります。
このように梁は連続形式とすると有利に設計出来るのです。

尚、片持ち梁の場合は以下になります。単純梁形式の○倍となります。片持ちは通常、1.33〜1.5倍の余裕を見る必要がありますので更に断面が大きくなると言う事です。それだけ、片持ち形式は不利な構造形式であると言う事です。
メンテ
Re: 小梁設計講座 ( No.4 )
日時: 2017/11/22 07:50
名前: 管理人

小梁符号でB1、B3が単純梁形式、B2、B4が連続梁形式です。小梁のスパンは支点から、支点までの距離です。支点は小梁が取り付く大梁または小梁の位置になります。
ここで支点の先(どちらか)に一直線状に小梁が繋がっていないものが単純梁形式にどちらか片端でも一直線状に別の小梁が繋がっているものが連続梁形式です。
メンテ
Re: 小梁設計講座 ( No.5 )
日時: 2017/11/22 07:55
名前: 管理人


どのような場合に構造的に有利な連続梁形式となるかですが、柱、大梁に囲まれたスパン(グリッド)の間取りが同じである場合、連続梁形式になる事が多いと思います。つまり、そのような間取りにすると構造的に、コスト的に有利になると言う事です。また、当然、スパンの短い方にかけた方が有利です。
メンテ

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