建築構造設計べんりねっと
構造設計基準、なんでだろう?


偏心基礎の接地圧 構造設計1年生さんより  2007.2.11UP
 偏心をさせない状態で地耐力がOKとなっている基礎の底版の片側を伸ばすと 地耐力がNGとなってしまう場合があるのは何故だろう?

地耐力  120kN/u

軸力N= 80 kN


接地圧 σ = 80 / 0.80
       = 100 kN/u < 120 kN/u
           OK
地耐力  120kN/u

軸力N= 80 kN


偏心距離 e = 0.20 m

接地圧
 σ = 80 / 1.20×(1+6×0.20/1.20)
   = 133 kN/u > 120 kN/u
           NG


 ちなみに1階床を土間構造とした場合、一般に基礎底版上の1階床重量まで無視して 計算してしまうのは何故でしょうか?

以上、構造設計1年生の素朴な疑問でした。



地震地域係数
 最近、気付いた事だが、建築基準法上は静岡県の地震地域係数Zは 1.0である。東海地震の危険性が指摘されているのになぜだろう。

 それにここ数年の大きな地震は地域係数が小さい所の方が多いような 気がする。

発生年月日 地震名 最大震度

地震地域係数

平成12年10月 6日 鳥取県西部地震 6強 0.9
平成13年 3月24日 芸予地震 6弱 0.9
平成15年 7月26日 宮城県北部地震 6強 1.0
平成15年 9月26日 十勝沖地震 6弱 1.0
平成16年10月23日 新潟県中越地震 0.9
平成17年 3月20日 福岡県西方沖地震 6弱 0.8
平成17年 8月16日 宮城県沖地震 6弱 1.0


ブレース構造の設計ルート
 ブレース構造で設計ルート2とした場合はOKとなるのに設計ルート3 とするとNGとなってしまう場合があるのは、なぜだろう?

 右図のブレース架構で

  ブレースの断面積
    A = 2.0 cm2

  一次設計時の地震力
    Qi = 24 kN とする。







【設計ルート2の場合】

  ブレース架構で水平力を100%ブレースで負担する場合のβによる  応力割増は、1.5となる。

ブレースの設計応力  T = 24×5.0/4.0×1.5 = 45.0 kN

ブレースの応力度  σt = 45.0/2.0 = 22.5 < 23.5 kN/cm2 ∴ OK

【設計ルート3の場合】

  ブレース架構で水平力を100%ブレースで負担する場合のDs は、0.35  となる。

  必要保有水平耐力 Qun = 24 × 5 × 0.35 = 42 kN

  保有水平耐力   Qu = 23.5 × 2.0 × 4.0 / 5.0 = 37.6 kN

        Qu < Qun  ∴NG

  ちなみにJIS規格品による材料強度の割増1.1倍を考慮しても足りない。

積雪荷重の低減
多雪地域において積雪荷重を地震用重量に算入する際 35%に低減するが、なんでだろう?

 積雪荷重を他の荷重と組合せをする際は短期100%、長期70%、地震時35% となっている。
 降雪期において通常は設計積雪量の70%程度の積雪量であり、一時的に100% 程度の積雪量となると考えれば、短期及び長期については理解出来る。 とすると地震時についても70%の積雪量を見込むべきでは無いか?どうして中途半端 に35%なのだろうか?

段丘礫層の杭の支持力
東京都構造設計指針では場所打ち杭には様々な支持力低減の規定があるが PHC杭については無いのはなんでだろう?

 東京都の構造設計指針によると場所打ち杭については隣地低減、L/Dに よる低減、段丘礫層の場合の低減等があるが、PHC杭については同様の 規定が無い。ちなみに他の都道府県では○○段丘礫層と言うのは聞いた事が 無いが。
                                       続く。。。