【建築構造設計インタビュー】
女性の構造設計系ユーチューバーたぬきさん
   

令和元年8月31日

 構造設計業界でにわかに話題になっている構造設計系ユーチューバーたぬきさんにインタビューしました。

 2019年5月に開設され、現在(8月31日)では、21本の関連動画が公開されています。
 動画での自己紹介によると26歳、女性。さて、どのような方なのでしょうか?その素顔は。





構造が苦手なたぬきが入社後、構造設計の部署に配属。。。

─ 初めまして、話題の人にお会い出来て、光栄です。私のブログでも、たぬきさんの事を扱った記事は大きな反響がありました。

「こちらこそ、建築構造設計べんりねっと様のような有名ブログで紹介していただきありがとうございます。それまではチャンネル登録者数が10人程度だったのですが、 ブログで紹介していただいてから、徐々に増えていきました。いち早く取り上げていただき感謝しています。」

─ ところで、なぜ、“たぬき”と言う名前を選んだのですか?

「前からたぬきに似てるって言われてたんですよ。(笑) 顔が丸いからですかね??
 適当に選んだ名前ですけど、今はニックネームのように皆さんに親しんで呼んでいただいているので、よかったと思っています。」


─ そう言われてみると似ているような。。。失礼しました。(笑)
 早速ですが、たぬきさんが、構造設計を志したきっかけをお聞かせ頂けますでしょうか?やはり、大学でも、専攻は構造系だったのですか?


「構造設計を志したというより、入社後配属された部署が構造設計の部署でした。しかも橋梁の(笑)
 大学時代は建築学科に通っていました。授業は一通りの科目がありましたが、構造は大の苦手でしたね。言葉と式の暗記でテストをしのいでいました。自分が苦手だったからこそ苦手な人が何につまずいているのかがわかるんですよね。
 構造が苦手なたぬきがなぜ構造設計の配属を受け入れたか・・・。それは構造が一番大切だと頭では分かっていたからです。人が建物を美しいと思うとき、例えば歴史的建造物や美術館、高層ビルなど・・・。それは構造美を「美しい」と思っているのではないでしょうか。美しい建物ほど構造がシンプルでとても理にかなっています。むしろ大きい建物になるほどデザインというのは構造に支配されてくるのではないのでしょうか?そして感覚的に力の流れが分かる構造的センスが設計者には必要だと新入社員のたぬきは思っていました。 これが構造設計(橋梁設計)を志したきっかけです。
 構造は大の苦手だけど、大切なのは知っている。よし飛び込んでみよう!今思えば博打みないなもんですね。若いって素敵(笑)

─ プロフィールによると現在は、橋梁設計(鋼構造)をされているそうですが、土木構造物の構造設計が専門なのですか?一級建築士もお持ちですし、建築の構造設計も行っているのですよね?

「そうですね。専門は橋梁設計(鋼構造)ですね。ほかの土木構造物(ダム、トンネル)などは設計したことがありません。同じフロアに建築の構造設計をやっている部署があったので、そちらが忙しいときは建築の構造設計もしていました。土木でも建築でも結局は自然の摂理は同じなので、計算書見てたら何やってるのかだいたい分かるんですよね。ちなみに今は構造設計していないんですけども・・・・。」

技術や知識は発信してこそ意味がある。よし、これを撮ろう!

─ では、本題のYouTube動画の話に移りたいと思います。どうして、YouTube動画の配信を行おうと思ったのですか?
 YouTubeには様々な分野の解説動画があります。構造設計に関する動画もいくつかありますが、本格的にYouTube用に作成された解説動画で構造設計の分野では、初ですよね。


「YouTubeをはじめようと思ったきっかけは、技術や知識は発信してこそ意味がある。と居酒屋でたまたま出会った人に言われたんですよね。(笑)そこで考えたんです。かねてからこんな動画あったらいいのになーと思っていた構造設計の解説動画。
 よし、これを撮ろう!って。
 でも一人だと不安だな・・・。と思っていたとき、そういや大学時代に同じゼミで就職も構造系に進んだ子がいたな。その翌日には九州から東京までその友達の元へ飛んでいきました。そして唐突に「YouTubeやろうと思うんやけど、手伝ってくれん?」って。友達もびっくりしていましたね。でも快く引き受けてくれました。今は主に動画編集をしてもらっています。最近では鬼電してたぬきを起こすということまでしてくれました。おかげで動画を1本撮ることができました(笑)
 いつも行動はノリです。でもノリだけでは人はついて来てくれません。そこに想いがなければ。
”構造に苦労している人たちのために、分かりやすい解説動画を撮ろう。”
 始めはわたし一人の想いでしたが、今はそれに共感してくれた相方と二人の想いで動画を作っています。

─ “ざっくり解説”と言うキャッチコピーが面白いですね。

 "ざっくり解説"にしている理由は、一つ一つのことに深く突っ込む前に、なんでこういう計算をしてるのかってところを、なんとなくでいいのでイメージしてほしかったので、"ざっくり"という言葉を選びました。構造計算では様々な算出式が出てくるため、計算の「方法」にどうしても目が行きがちになり、なんで?の部分は二の次になってしまいます。計算は式に当てはめるからできるけど、なんでこの計算をしているかがわからないっていう状態が、構造に対して苦手意識を持つ理由だと思うんですよね。なので、計算方法は一旦置いといて、各設計プロセスの「意味」を伝えるよう心掛けています。」

─ その考え方、共感します。難しい理論は後回しでも、まずは、なんでこういう計算をしてるのかをイメージする事は大事です。私達も最初から、全ての理論を理解していた訳ではありません。 分かりやすい解説だと思いますよ。
 私も部下の若手社員が居ますが、部下の育成には苦労しています。歳をとると、だんだん説明をするのが、面倒になり、丁寧に説明出来ていないのを感じています。たぬきさんを見習わないと反省しました。(笑)
 動画による解説で気を付けていること、心掛けている事はありますか?


「ご自分の仕事もこなしながら、部下の育成もとなるとなかなか大変ですよね。たぬきも上司にはほとんどほったらかしにされていましたよ。(笑)今日はこの本を読んでおいて、みたいな。将来的には今日はこの動画(たぬき)を見ておいて、となる時代になれればいいですけど。話がそれましたが、動画では下記に気をつけています。
・何のためにこの過程を踏んでいるのか、ということを説明する
・結論から話す
・最後にもう一度要点をまとめる
・建築だけではなく土木の視点からも見る」

─ なるほど、私も参考にさせて頂きます。まずは部下の若手社員に、たぬきさんの動画を一通り見るように指示します。(笑)
たぬきさんの解説動画は、だいたい7~15分程度ですが、一本の動画を作成するのに、どのくらいの時間が掛かるのですか?企画、準備、撮影、編集と結構な作業がありそうですが。


「一通り見るよう指示。。。新しいパワハラではないでしょうか。冗談です。(笑)そう言っていただいてありがとうございます。企画は5月に東京に行ったときに相方と打合せしたんですけど、準備に関してははじめの方はすごく時間かかりましたね。カフェでノートにまとめたりしても何日もまとまらなかったり、撮影も何度も撮り直しました。7月くらいからコツがつかめてきて準備1時間、撮影も一発でOKという感じになってきました。編集は2、3日くらいと聞いています。どうやら、たぬきの撮影のクオリティに編集は影響されるようです(笑)一本の動画を作成するのにトータルで3、4日くらいで作成しています。 」

─ 結構な手間が掛かるのですね。仕事もしながら、動画も配信。大変ですね。
では、たぬきさんの動画を見てみましょう。



『#10 応力【構造設計】建築士が実務設計の流れをざっくり解説していく!』
ざっくり解説シリーズの10本目の動画は、応力についてです。構造設計、構造計算の勉強を始めたばかりの人は、「なんで、そんなややこしい考え方をするの?」 と思うでしょうが、構造設計を行う上で重要な考え方です。次回は“応力度”に対しての解説予定なので、このような取り扱いをする意味が分かると思います。 次の動画も期待!


今は”学びはYouTubeで”という文化が根付きつつあります。

─ ところで動画でお酒のボトルが映っていたのが、ありましまたが。。。お酒がお好きなのですか?(笑)

「お酒は強くはないですが、まあまあ好きですね。(笑) 焼酎の中では黒霧島が一番飲みやすいです。コンビニでも売っていますし。 でもよく飲むのは、カシスオレンジです(笑)」

─ 最後に今後の活動予定とたぬきさんの動画の視聴者さん、建築構造設計べんりねっとの閲覧者さんにメッセージをお願いします。

「最後まで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。そして名もないYouTuberたぬきにこのような機会を与えてくださった建築構造設計べんりねっとの管理人様には本当に感謝しています。ありがとうございました。 今後の予定としましては、鋼構造の解説シリーズやロケなどをしていこうと思います。機会があれば構造設計者の座談会みたいな企画もやってみたいですね。
 たぬきがYouTuberを始めたもう一つの理由に、学校やセミナーなどの“ハコモノ”に通う時代はもう終っている、と大学のときから思っていました。今は”学びはYouTubeで”という文化が根付きつつあります。自分で考え、体感し、技術を習得していくのが一番ですが、この解説動画を通して少しでも構造に苦手意識を持たれている方の力になれれば幸いです。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 本日はありがとうございました。」

─ 本日はありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。建築構造設計べんりねっとも微力ながら、応援します。


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