建築基準法(構造関係規定)裏読み、逆読み解説-1
  
 

建築基準法(構造関係規定)の解説です。読みやすく、判りやすくなるように実務上の取り扱いが少ない事に関する規定を 取り扱う( )部分は削除して書いています。また、必要に応じて(青文字)にて、追記 しています。


建築基準法・施行令条文

(用語の定義)
法第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (省略)
 特殊建築物 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
 (省略)
 (省略)
 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

以下、省略

解説・裏読み





特殊建築物に当て嵌まるかどうかで、確認申請における構造図書の要否が変わる場合があります。住宅系の建物用途でも共同住宅は特殊建築物になりますが、ここに含まれない一戸建ての住宅及び長屋は特殊建築物には含まれません。



間柱、最下階の床、小ばり、屋外階段は主要構造部には含まれません。基本的には建築基準法で言う“主要構造部”とは構造設計で扱う区分ではなく、防火上の規定の適用を定めるための区分でありますが、構造関係規定にも“主要構造部”と出てくる所がありますので良く確認しておきましょう。




令第一条  この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (省略)
 (省略)
 構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、 床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

以下、省略





ここに含まれないものは構造耐力上主要な部分には当て嵌まりません。構造耐力上主要な部分に当て嵌まるかどうかで、以降の条文の適用されるかどうかが変わりますが、注意が必要なのは下線部分です。
荷重を負担するものは“構造耐力上主要な部分”になります。建物内にあるものは全て自重がありますので、言いようによっては全てが“構造耐力上主要な部分”になってしまいますので注意が必要です。


(構造計算適合判定資格者検定)
法第五条の四  構造計算適合判定資格者検定は、建築士の設計に係る建築物の計画について第六条の三第一項の構造計算適合性判定を行うために必要な知識及び経験について行う。
 構造計算適合判定資格者検定は、国土交通大臣が行う。
 構造計算適合判定資格者検定は、一級建築士試験に合格した者で、第六条の三第一項の構造計算適合性判定の業務(=補助員)その他これに類する業務で政令(令八条の四)で定めるものに関して、五年以上の実務の経験を有するものでなければ受けることができない。
 (省略)
 (省略)

令八条の四  法第五条の四第三項の政令で定める業務は、次のとおりとする。
 建築士法第二条第七項に規定する構造設計の業務
 法第六条第四項若しくは法第十八条第三項に規定する審査又は法第六条の二第一項の規定による確認のための審査の業務
 建築物の構造の安全上の観点からする審査の業務であつて国土交通大臣が同項の構造計算適合性判定の業務と同等以上の知識及び能力を要すると認めたもの


この条では、適判員の受験資格を規定しています。条件を整理すると以下になります。
・一級建築士であること。
・構造計算適合性判定の補助員の経験もしくは構造設計業務
 又は建築確認における構造審査業務の経験は5年以上ある
 こと。

つまり、構造設計一級建築士である必要はありません。






令八条の四では法第五条の四による適判員の受験資格の条件を規定しています。尚、「国土交通大臣が同項の構造計算適合性判定の業務と同等以上」 とは告示179号による品確法による住宅性能評価の審査の事になります。





(建築物の建築等に関する申請及び確認)
法第六条  建築主は、第一号から第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。
 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるもの
 木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの
 木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるもの
 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域若しくは景観法第七十四条第一項 の準景観地区内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

 (省略)

 建築主事は、第一項の申請書が提出された場合において、その計画が次の各号のいずれかに該当するときは、当該申請書を受理することができない。
 (省略)
二 構造設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の二第一項の建築物の構造設計を行った場合において、当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。
 (省略)

 (省略)

 建築主事は、前項の場合において、申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の構造計算適合性判定を要するものであるときは、建築主から同条第七項の適合判定通知書又はその写しの提出を受けた場合に限り、第一項の規定による確認をすることができる。

 建築主事は、第四項の場合(申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従った構造計算で同号イに規定する方法によるものによって確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、第四項の期間内に当該申請者に第一項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、第四項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。

以下、省略

法第六条の二 (省略)


ここでは建築物を建築する場合、確認申請が必要な建物について規定しています。

逆に確認申請が不要な建築物の条件は以下になります。
①特殊建築物の場合は200㎡以下である事。
②木造は2階建て以下かつ延べ面積500㎡以下。
③木造以外の場合は平屋建てかつ延べ面積200㎡以下。
④四号で規定する地域以外に建築する場合

①~③に該当する建築物がいわゆる“4号建築物”になります。

但し、ほとんどの地域は都市計画区域若しくは準都市計画区域になりますので、確認申請自体が全て不要になる事は通常、ありません。








ここでは構造設計一級建築士の関与(自ら設計、法適合確認)が必要な建物規模については規定しています。対象となる建物規模は建築士法第二十条の二第一項の建築物(高さ60m超えの建物、高さ60m以下の建築物のうち、木造で高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの、4階以上の鉄骨造、高さが20m超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造等)です。

構造計算適合性判定は建築主が申請し、建築主事はその通知を確認する事となりました。





『特定構造計算基準』とは、保有水平耐力計算(ルート3)、ルート2、限界耐力計算です。















(構造計算適合性判定)
法第六条の三  建築主は、第六条第一項の場合において、申請に係る建築物の計画が第二十条第一項第二号若しくは第三号に定める基準(特定構造計算基準)に適合するかどうかの確認審査を要するものであるときは、構造計算適合性判定の申請書を提出して都道府県知事の構造計算適合性判定を受けなければならない。ただし、当該建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分のうち確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかを、構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する者として国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事が第六条第四項に規定する審査をする場合又は前条第一項の規定による指定を受けた者が当該国土交通省令で定める要件を備える者である第七十七条の二十四第一項の確認検査員に前条第一項の規定による確認のための審査をさせる場合は、この限りでない。

以下、省略


ここでは構造計算適合性判定が必要なケースを規定しています。特定構造計算基準』、つまり、保有水平耐力計算(ルート3)、ルート2、限界耐力計算を行った場合です。ポイントは建物規模ではなく、計算方法により決まります。

下線部分では、ルート2対応と認められた建築主事、確認審査機関に申請する場合は適判が免除されると言う事を規定しています。














(建築物の建築に関する確認の特例)
法第六条の四  第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する前二条の規定(確認申請が必要な事)の適用については政令(令第十条)で定める規定を除く。
 第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(認定型式)に適合する建築材料を用いる建築物
 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
 第六条第一項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

以下、省略








【4号特例】
4号建築物にあたる建築物は施行令第十条に定める規定が確認申請の審査から除かれることになります。いわゆる“4号特例”です。
さて、ここで法第六条三を再度、確認しましょう。4号特例は木造以外の建物でも該当する場合があります。


令第十条  法第六条の三第一項の規定(4号特例)により読み替えて適用される法第六条第一項の政令で定める規定は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める規定とする。
 (省略)
 (省略)
 法第六条の三第一項第三号に掲げる建築物(4号建築物)のうち防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建ての住宅。
 法第二十条第四号イに係る部分(構造耐力)、法第三十七条(建築材料の品質)の規定
 第三章(第八節を除き、第八十条の二にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)
 (省略)

 法第六条の三第一項第三号に掲げる建築物のうち前号の一戸建ての住宅以外の建築物
  法第二十条第四号イに係る部分(構造耐力)、法第三十七条(建築材料の品質)の規定
 第三章(第八節を除き、第八十条の二にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)
 (省略)







4号建築物は確認申請の審査から以下のものが除かれることになります。
・木造2階建て以下延べ面積500㎡以下の建物及び平屋建て鉄骨造、RC造、SRC造で延べ面積200㎡以下の建物に必要とされる構造の安全性を説明する資料。
・使用構造材料を説明する資料

“ロ”については、令第八十条の二に基づき、定められた告示によるものは八節(構造計算)以外は必要との条文です。ツーバイフォーの基準が当て嵌まります。

つまり、構造に係わる資料は一切、不要と言う事です。46条壁量計算も金物のN値計算も全て不要です。
「第四号イに係る部分」とあるのは4号建物においても構造計算を行って、確認申請を行う事は禁止はされておらず、その場合は資料の省略が出来ないと言う規定です。
尚、この条の三号と四号の一戸建ての住宅か、それ以外の4号建物かの違いです。


(敷地の衛生及び安全)
法第十九条
 (省略)
 (省略)
 (省略)
 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。







高さ2.0m以下の擁壁の場合は工作物申請は不要でありますが、安全性について疑いがある場合や構造耐力の不明な既存擁壁がある場合、この条文により、確認申請で指摘をされ、構造計算書の提出を求められる場合がるので注意しましょう。

(構造耐力)
法第二十条  建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。

 高さが60mを超える建築物
 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。

 高さが60m以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(木造の建築物で3以上の階数を有し、高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が4以上である鉄骨造の建築物、高さが20mを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物、その他これらの建築物に準ずるものとして政令(令第三十六条の二)で定める建築物に限る。)
 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令(令第三十六条2項)で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
 前号に定める基準に適合すること。



 高さが60m以下の建築物のうち、第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物
次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令(令第三十六条3項)で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
 前二号に定める基準のいずれかに適合すること。


 前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
 前三号に定める基準のいずれかに適合すること。









 前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。








【時刻的応答解析(大臣認定)】
高さが60mを超える建築物(超高層建築物)は時刻暦応答解析による検討と大臣認定の取得が必要なことを規定しています。




【ルート3、ルート2、限界耐力計算】
この項で対象としているの以下の建築物です。
・3階以上で高さが13m又は軒の高さが9mを超える木造
・4階建て以上又は高さが13m又は軒の高さが9mを超える鉄骨造
・高さが20mを超えるRC造、SRC造(RC造とSRC造を併用した場合も含む)
・混構造の建築物(木造と鉄骨造、木造又は鉄骨造とRC造、SRC造)

以上の建物については施行令第八十一条第二項で以下の検討方法が必要となっています。
①高さが31mを超える場合
・保有水平耐力計算(ルート3)
・限界耐力計算
②高さが31m以下の場合
・許容応力度等計算(ルート2)


【ルート1】
この項で対象としているの以下の建築物です。
・3階建て、又は延べ面積が500㎡を超える木造
(高さが13m若しくは軒の高さが9m以下である事)
・3階以下の鉄骨造
(高さが13m若しくは軒の高さが9m以下である事)
・高さ20m以下のRC造、SRC造

以上の建物については施行令第八十一条第三項で以下の検討方法が必要となっています。
・許容応力度等計算(ルート1)


【壁量計算、仕様規定の確認等】
この項で対象としているの以下の建築物です。
・2階建て、又は延べ面積が500㎡以下の木造
・平屋建てかつ延べ面積200㎡以下の鉄骨造、RC造、SRC造

以上の建物については施行令令第三十六条3項で以下の検討方法が必要となっています。
・仕様規定の確認(壁量計算等)

尚、各号において、“前号に定める基準に適合すること。”とあるのは上位の構造計算方法を 採用する事もかまわないとの条文です。

本規定はエキスパンションジョイントとしている建物は、それぞれ別の構造計算方法を採用して良い事を規定しています。 つまり、1棟はルート3にて適判、1棟はルート1にて適判なしと言う事も出来ます。


(構造方法に関する技術的基準)
令第三十六条
 法第二十条第一号(時刻的応答解析)の政令で定める技術的基準は、耐久性等関係規定、第七十四条から第七十六条まで、第七十九条、第七十九条の三並びに第八十条の二(国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)の規定をいう。)に適合する構造方法を用いることとする。

 法第二十条第二号イ(保有水平耐力計算、ルート2、限界耐力計算)の政令で定める技術的基準は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造方法を用いることとする。
 第八十一条第二項第一号イ(保有水平耐力計算)に掲げる構造計算によつて安全性を確かめる場合
 この節から第四節の二まで、第五節(第六十七条第一項及び第六十八条第四項を除く。)、第六節(第七十三条、第七十七条第二号から第六号まで、第七十七条の二第二項、第七十八条(プレキャスト鉄筋コンクリートの場合に限る。)及び第七十八条の二第一項第三号を除く。)、第六節の二、第八十条及び第七節の二(第八十条の二を除く。)の規定に適合する構造方法











 第八十一条第二項第一号ロに掲げる構造計算(限界耐力計算)によつて安全性を確かめる場合
 耐久性等関係規定に適合する構造方法

 第八十一条第二項第二号イに掲げる構造計算(ルート2)によつて安全性を確かめる場合
 この節から第七節の二までの規定に適合する構造方法

 法第二十条第三号イ(ルート1)及び第四号イの政令で定める技術的基準(壁量計算等、仕様規定の確認)は、この節から第七節の二までの規定に適合する構造方法を用いることとする。

(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物等に準ずる建築物)
令第三十六条の二  法第二十条第二号構造計算をルート2、ルート3又は限界耐力計算としなければならない建物)の政令で定める建築物は、次に掲げる建築物とする。
 地階を除く階数が4以上である組積造又は補強コンクリートブロック造の建築物
 地階を除く階数が3以下である鉄骨造の建築物であつて、高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの
 鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造とを併用する建築物であつて、高さが20mを超えるもの
 木造、組積造、補強コンクリートブロック造若しくは鉄骨造のうち二以上の構造を併用する建築物又はこれらの構造のうち一以上の構造と鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨鉄筋コンクリート造とを併用する建築物であつて、次のイ又はロのいずれかに該当するもの
 地階を除く階数が4以上である建築物
 高さが13m又は軒の高さが9mを超える建築物
 前各号に掲げるもののほか、その安全性を確かめるために地震力によつて地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することが必要であるものとして、構造又は規模を限って国土交通大臣が指定する建築物平19告示593号



この項は時刻的応答解析を行う場合、準拠すべき基準です。










【保有水平耐力(ルート3)の場合に除かれる条文】
構造計算方法を保有水平耐力(ルート3)とする事により、以下の規定の適用が不要になります。
令第六十七条第一項
 構造耐力上主要な部分である鋼材の接合の規定(高力ボルト接合)。ボルト接合(中ボルト)が使用できる規模の制限。
令第六十八条第四項
 ボルト孔の径に関する規定
令第七十三条
 鉄筋の継手及び定着に関する規定(梁主筋の定着長を40dとする事、他)
令第七十七条二号から第六号まで
 RC柱の最小断面、最小配筋に関する規定
令第七十八条の二第一項第三号
 耐力壁の最小配筋に関する規定
令第八十条の二
 構造関連告示の準拠(令第八十条の二に基づき定められたもの)

限界耐力計算による場合は、耐久性等関係規定を除く全ての仕様規定の施行令が除かれます。


ルート2の場合は全ての仕様規定の施行令が適用されます。



ルート1及び木造壁量計算の場合は全ての仕様規定の施行令が適用されます。





この条文により、法第二十条でルート2以上としなければならない建物が追加されています。









(建築材料の品質)
法第三十七条  建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(「指定建築材料」平15告示461号)は、 次の各号の一に該当するものでなければならない。
 その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本工業規格又(JIS)は日本農林規格(JAS)に適合するもの
 前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの


(特殊の構造方法又は建築材料)
第三十八条 この章の規定及びこれに基づく命令の規定は、その予想しない特殊の構造方法又は建築材料を用いる建築物については、国土交通大臣がその構造方法又は建築材料がこれらの規定に適合するものと同等以上の効力があると認める場合においては、適用しない。

使用できる建築材料の規定です。基本的にはJIS、JAS製品とする必要があり、それ以外は大臣認定(37条認定)が必要です。
この規定は“主要構造部”及び“建築物の基礎”とありますが、令144条の3にて、その他安全上必要な部分にも適用される事になります。









大臣認定制度を規定している条文です。いわゆる、新38条認定です。しかし、構造に係る部分については既に認定制度があるので、この認定が適用されることは、ほぼないと考えられます。現状のn認定制度で取り扱えない構造方法又は建築材料を認定するものです。

(構造設計の原則)
令第三十六条の三  建築物の構造設計に当たつては、その用途、規模及び構造の種別並びに土地の状況に応じて柱、はり、床、壁等を有効に配置して、建築物全体が、これに作用する自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して、一様に構造耐力上安全であるようにすべきものとする。
 構造耐力上主要な部分は、建築物に作用する水平力に耐えるように、釣合い良く配置すべきものとする。
 建築物の構造耐力上主要な部分には、使用上の支障となる変形又は振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないような靱性をもたすべきものとする。

確認申請で「どの基準でそのような指摘をするのか?」と反論しても、この条文を基に好きな指摘を上げられてしまう事が あるので注意が必要である。