建築構造設計に関わるいろいろな数字を調べてみました。
日本で一年間に約53万棟の建物が建築されています。そのうち、75%は木造です。
構造種別 | 棟数 | 比率 |
木 造 | 405,692 | 75.9% |
RC造 | 13,411 | 2.5% |
SRC造 | 522 | 0.1% |
鉄骨造 | 97,217 | 18.2% |
CB造 | 752 | 0.1% |
その他 | 17,153 | 3.2% |
合 計 | 534,757 |
国交省の建築着工統計(令和2年)によると着工棟数の合計は534,757棟です。そのうち、木造が75.2%を占めています。これは主に木造住宅です。
私達、構造設計者が主に構造計算を行うRC造、SRC造、鉄骨造の合計は111,150棟、20.8%です。鉄骨造が多いのは戸建住宅も含まれているためです。床面積としてはRC造、SRC造は平均1,700㎡、鉄骨造は平均400㎡です。
尚、その他の構造とは石造、煉瓦造、無筋コンクリート造、無筋コンクリートブロック造です。これは一般建築ではないものが多いのでしょう。
適判の申請件数は年間14,454棟です。構造設計者の関与が必要な建物は125,978棟です。
種別 | 件数 | 比率 |
1~3号 | 111,524 | 20.4% |
適 判 | 14,454 | 2.6% |
4号 | 421,866 | 77.0% |
合 計 | 547,844 |
国交省の確認申請交付件数統計(令和2年)によると適判の件数は14,454件、77%は構造設計者が関与しない4号建物です。
1~3号建築物とは、100㎡を超える特殊建築物、構造計算対象の木造、木造以外で2階以上または200㎡以上の建物であり、確認申請交付件数は111,524件です。
これを合計した125,978棟について、私達構造設計者が関与することになります。
構造設計一級建築士の人数は10,867人です。(令和2年度)
令和2年度現在で構造設計一級建築士の人数は10,867人です。適判物件の件数が年間14,454件ですので一人当たり、年間1.3件です。
こう考えると構造設計一級建築士の資格はそれほど貴重ではないように思えます。
構造設計をバリバリ行っている人は年間数件から10件程度は適判物件をこなすと思います。構造設計一級建築士であっても、全く実施設計を行わない人も多いのでしょう。
構造設計者の人数は現在、14,892人です。
構造設計者と分類したのは構造設計一級建築士および取得に取り組んでいる人です。2020年の試算では14,892人です。内訳は以下の通り。
平均で一人当たり年間8.5件の構造設計を行っていることになります。
尚、構造設計者の70%が構造設計一級建築士を取得していることになります。無資格、資格取得の意思がない人で構造設計を行っている人も居るとは思いますが、現在では少数でしょう。
構造設計専業の設計事務所の約7,000社と想定されます。
少し古いデータですが、2007年、日本建築学会の「設計事務所実態調査報告書」によると設計事務所の総数は100,042社で構造設計専業の設計事務所は24,802社となっています。そのうち、法人形態が67%の16,619社、個人形態が33%の8,185社です。尚、2020年においても建築士事務所の登録数としては概ね同数です。
2009年に建築士法改正による構造設計一級建築士制度が施行され、構造設計一級建築士でないと小規模な建物しか対応出来なくなりました。資格取得が出来ず、この時期に廃業した構造設計事務所も多くありましたが、現在でも20,000社程度の登録数はあると想定されます。
しかし、実状としては構造設計一級建築士が居ないと業務を行っていくのは困難であり、実質、動いているのは8,000社程度でしょう。『建築構造設計べんりねっと』によるネット上の検索調査ではウエブサイトがある構造設計事務所は450社程度です。
様々な団体の構造設計事務所一覧によるウエブサイト保有の比率から考えても、この程度となります。
尚、単純計算で1社当たりに年間18件程度の構造設計をこなすことになります。
構造設計料金の相場はRC造 1,310円/㎡、木造 1,936円/㎡です。
2019年、建築構造設計べんりねっとの調査によると構造設計料金(平均)はRC造:1,310円/㎡、木造:1,936円/㎡です。木造は規模が小さいため、単価は上がります。
着工統計の床面積からすると構造設計料は、RC造:平均222万円、鉄骨造:平均66万円となります。
※鉄骨造の構造設計単価はRC造と木造の中間値としました。
構造設計事務所の売上は平均で一人当たり年間1,000万円弱です。
2019年の調査によると構造設計事務所の売上は平均で一人当たり年間1,000万円弱です。調査方法はリクナビ等の求人サイトの会社概要データに記載されている売上高からの算定です。
年間1,000万円の売上を上げるにはRC造であれば年間4.5件、鉄骨造であれば年間15件の対応が必要になります。
構造設計者の平均年齢は35歳?
『建築構造設計べんりねっと』のアクセス解析によるとユーザーの年齢分布は上記になります。平均では35際です。
もっと高齢化している思われますが、ネットユーザーに若年層が多いためでしょう。
一番シェアが多いのがBUILD.一貫(構造ソフト)の41.8%です。Super Build(ユニオンシステム)27.0%、BUS(構造システム)20.1%と続きます。
種別 | シェア |
BUILD.一貫(構造ソフト) | 41.8% |
Super Build(ユニオンシステム) | 27.0% |
BUS(構造システム) | 20.1% |
SEIN(NTTファシリティーズ総研) | 6.9% |
ASCAL(アークデータ研究所) | 1.1% |
ACE許容(東京デンコー) | 1.1% |
その他 | 2.1% |
2017年、建築構造設計べんりねっとによるアンケート調査では上記の結果となりました。尚、
過去2階のアンケートでは、第1回目アンケート:Super Build(ユニオンシステム)38%、 BUILD.一貫(構造ソフト)30%、BUS(構造システム)23%、
第2回目アンケート:Super Build(ユニオンシステム)32.9%、BUS(構造システム)23.4%、 BUILD.一貫(構造ソフト)23%でした。
入力の簡便さよりも高機能、各種基準の変更対応の迅速さから、BUILD.一貫ユーザー が増えているようです。