構造設計講座(木造住宅編)~よくある質問!


構造設計講座(木造住宅編)で受講者の方から、よくある質問をまとめました。

  建築構造設計べんりねっと!

■構造設計の基本的な考え方


1.X方向、Y方向とは?

 建物平面に対して、横方向をX方向、縦方向をY方向と呼びます。

 例えば、建物に対して、横方向から来る地震を“X方向の地震力”、縦方向から来る地震を“Y方向の地震力”と呼びます。横方向(X方向)からの地震力に対して抵抗する耐力壁は横方向を向いている 耐力壁です。この向きの耐力壁を“X方向の耐力壁”と呼びます。

 また、このX方向の地震力とX方向の耐力壁の強度を比較する事を“X方向の検討”と呼びます。 通り符号をX1、X2、Y1、Y2と付ける事がよくありますが、この通り芯方向とは逆になりますので注意が必要です。

 さて、何故、このような呼び方が必要になるかと言うと地震に対する検討はX方向とY方向の2方向の検討をする為です。

 地震はあらゆる方向から来ます。まず、建物に対して、 横方向(X方向)から来る地震があります。 次に縦方向(Y方向)の地震があります。更に斜め方向もあるわけですが、斜め方向は力がXY両方向に分解されるため、X方向、Y方向の検討よりも安全側になります。つまり、X方向、Y方向の2方向 からの検討を行えば、全ての方向からの地震に対して安全が確認できる事になります。

  ⇒図面で確認する。

2.構造設計の階高とは?

 通常、建築設計図で階高と言うと各階の仕上げ高さ間の寸法を言いますが、構造設計では構造計算をする上で必要な階高を考えます。これを“構造階高”と言います。

 木造では各階の梁の内法寸法(梁天端から梁せいの寸法を引いた高さ)を構造階高にします。『Kizukuri』では“階高”に梁天端間の寸法を入力します。そして、“階高さ”に梁せいを入力する 事で梁の内法寸法が自動計算されます。意匠の階高とは異なりますので注意必要です。

  ⇒図面で確認する。

 RC造や鉄骨造のラーメン構造では梁を線材に置換して計算を行いますので各階の梁の中心間の寸法を構造階高とします。(各階の梁せいが違うと梁天端間とは若干、寸法が異なります。)

 木造では梁の中心間では無く、筋交いの角度が柱どにかかる力を算定する上で重要になるので梁の内法寸法とします。

■各部の設計について


1.通し柱から片持ち梁を出す事は出来ないのですか?

 片持ち梁の根元には梁を回転させようとする力(曲げモーメント)がかかります。片持ち梁の部材を大きくしても、取り付く部材(柱)にこの力を伝える事が 出来ないと梁は落ちてしまいます。

 通常、木造の接合方法では、この力を伝える接合は出来ません。つまり、通し柱には片持ち梁を接合する事は出来ません。

 片持ち梁は以下のように梁を連続させて作ります。根元に生じる力に対し、部材を建物内部まで連続させて配置する事により、抵抗します。根元には鉛直力も 作用しますので管柱がある部分でないと作れません。
  
 通し柱部分にバルコニー等の片持ち部分を作る場合は近傍の管柱部分から片持ち梁を配置し、先端梁を片持ち梁先端から伸ばして、更に片持ちを作る形式で処理します。

  ⇒図面で確認する。

2.『Kizukuri』の入力で“2階柱土台の樹種”とは、どの部材の樹種の事ですか?

 木造の構造計算では柱にかかる圧縮軸力により、柱が土台梁にめり込んでしまわない事を構造計算で確認します。通常、問題になるのは 1階柱の土台梁へのめり込みですが、2階、3階の管柱においても同様の現象が起きます。

 2階の柱は、1階の柱の上に2階梁があり、その上に立っていますので、めり込みの検討は2階梁に対して行います。

 つまり、“2階柱土台の樹種”とは“2階の梁の樹種”を指定する事になります。

3.『Kizukuri』の入力で屋根の入力方法が判りません。屋根と屋根天井はどのように分けるのですか?

 Kizukuriでは屋根部分と小屋部分を分けて入力が出来ます。小屋部分は束、母屋、屋根(荷重)を入力します。屋根部分は2階(屋根)部分で 屋根梁、屋根天井(荷重)、2階柱・壁を入力します。

 母屋束から屋根梁にかかる荷重を適切に入力する事、荷重に抜けがないようにする事が重要です。

 入力にあたっては以下の資料を確認して下さい。

  ⇒図面で確認する。

4.間仕切壁を作るには端部に柱を設けないとならないのですか?

 間仕切壁の端部には柱を必ずしも設ける必要はありません。

 『Kizukuri』では、壁を耐力壁とその他の壁で分けて入力します。耐力壁は強度(剛性)と重量が考慮されます。耐力壁の端部には 地震時に軸力が生じますのでその力を受ける柱が必要です。一方、その他の壁は重量のみの考慮になります。重量は梁で負担しますので柱は無くてもかまいません。

 『Kizukuri』ではプログラム上、壁を配置出来るのは、柱間のみとなっています。耐力壁で無いその他の壁は重量の考慮のみであるので、形状にこだわり、 無理に柱を建てたりせず、長めに(重量を多めに)入力する、短い壁は無視するなどをして、入力しましょう。

 その他、柱追加荷重や梁の線荷重で考慮する事も出来ます。
 尚、 『Kizukuri』では外壁、内壁の判別(重量の判別) はプログラム内で自動で行われます。入力した壁によって閉じられた最外部を外壁、その中を内壁と 判別されます。よって、外壁面はサッシ部分も全て壁を配置するようにします。

5.短期のめり込みの検討は必要ですか?

 めり込みの検討とは、柱からの軸力で柱を支える土台梁や梁(2階以上の柱の場合)が凹んでしまわないかを確認する検討です。

 建築基準法的には、めり込みの検討は長期のみで良いとなっていますが、短期についても検討を行うのが一般的です。『Kizukuri』の入力で “一般事項の入力-設計方針”で「短期のめり込みも検討する。」にチェックを入れましょう。

  ⇒『Kizukuri』の入力箇所を確認する。

 このめり込みがNGの場合の対処方法としては以下があります。
・柱の軸力が小さくなるように周辺に柱を追加する、梁のかけ方を調整する。
・梁、土台にかかる単位面積当たりの軸力が小さくなるように柱のサイズを上げる。
・梁、土台梁の強度を上げる。(めり込み強度の大きい樹種に変更する。)

6.『kizukuri』で階段はどのように入力したら、良いのでしょうか?

 各階の床面レベルで考えた時に階段室では床はありませんが、『kizukuri』には入力が必要です。

 『kizukuri』の床の入力では二つの要素があります。 一つ目は床荷重の考慮です。荷重については各階床面にはありませんが、柱・基礎へと流れる力であり、 地震力にも考慮が必要なので入力が必要です。二つ目は床剛性の確保の確認の為の床せん断耐力です。 階段室は各階床面には水平構面がありませんので床せん断耐力は“0”です。

 『kizukuri』の入力では、まずは荷重考慮の為に床を入力します。次に床せん断耐力を“0”で指定します。床せん断耐力の指定はその部分をマウスで囲み、 右クリック、プロパティ(データ入力)でせん断耐力を“0”を指定します。

  ⇒『Kizukuri』の入力箇所を確認する。

■KIZUKURIの使用方法について


1.『Kizukuri-Sub』は別で購入する必要があるのですか?

 『Kizukuri-Sub』は『KIZUKURI(ver6.5)トライアル版』に付いています。Windowsの「スタート」→「全てのプログラム」→「KIZUKURI トライアル版」→「KIZ-sub」から起動できます。

2.講座で使用する『Kizukuri』(トライアル版)は実際の確認申請でも使用出来るのですか?

 本講座で配布している『KIZUKURI(ver6.5)トライアル版』は、入力スパン数の制限がある以外は、機能的には通常版と変わりませんが、確認申請ではご利用になれません。 (住宅であれば、問題ない
程度のスパン数は入力出来ます。)
 尚、印刷した表紙には、“トライアル版”と表示されます。

 本講座では木造構造設計の勉強用に(有)木造舎様より、配布の許諾を特別に頂いています。

3.Kizukuriデータをメールで送付したいのですが、データは何処にあるのでしょうか?

 『KIZUKURIトライアル版』がインストールされているフォルダ内にデータがあります。拡張子は、“jdt”です。その他の方法としては、当該データを開き、 「ファイル」→「別名保管」でデスクトップ等に保存出来ます。

4.『Kizukuri』(トライアル版)は講習期間が終わったら、使用出来なくなってしまうのですか?

 個別指導による講習期間は6ヶ月間とさせて頂いておりますが、『KIZUKURIトライアル版』については 講習後の続けて、使用する事は出来ます。



--------------------------------------------------------