近年、構造家と呼ばれる構造設計者が増えてきました。このような構造設計者の経歴を見るとほとんどが有名構造家の事務所出身です。構造設計の分野においても伝統芸能などのように師と仰ぐ構造設計者に師事し、技能を身に付け、独立して行く流れがあります。
構造設計の目的はまず、“安全な建物”を作ることですが、このような流れが存在するのは安全である事以外にデザインや哲学を構造設計に求める構造設計者が居ると言うことです。
そこで構造家の系統を世代別にまとめてみました。現在の構造家の本流は?
構造設計事務所と言う形態が出来たのは1950年代です。この時代に横山不学氏による横山建築構造設計事務所、織本匠氏による織本構造設計が設立されました。まさに創世記です。
次の世代は1960年代になります。横山建築構造設計事務所から、木村俊彦氏が独立し、木村俊彦構造設計事務所を設立します。また、川口衞構造設計事務所も同じ時期に設立されています。
この時代は未だ、構造設計事務所も
それほど多くなく、黎明期と言うべき時代ですが、木村俊彦構造設計事務所を中心に構造家の流れが始まります。木村俊彦構造設計事務所は後に有名構造家となる渡辺邦夫氏、佐々木睦朗氏、梅沢良三氏など優れた構造設計者を多数、輩出します。
1980年代になると木村俊彦構造設計事務所出身の渡辺邦夫氏(構造設計集団 SDG)が、『構造デザイン』との概念を提唱し、同じく木村俊彦構造設計事務所出身の佐々木睦朗氏(佐々木睦朗構造計画研究所)、梅沢良三誌(梅沢建築構造研究所)、横山建築構造設計事務所出身の金箱温春氏(金箱構造設計事務所)など活躍し、
『構造家』との呼び名な定着します。まさに発展期です。
そして、今川憲英氏(T.I.S. & PARTNERS)、池田昌弘(池田昌弘建築研究所)、佐藤淳氏(佐藤淳構造設計事務所)、新谷眞人(オーク構造設計)などが続きます。
こららの構造家もほとんどが横山建築構造設計事務所、木村俊彦構造設計事務所出身です。まさに横山建築構造設計事務所、
木村俊彦構造設計事務所は構造設計業界の家元、総本山とも言うべき、存在です。
しかし、残念ながら、木村俊彦構造設計事務所は木村俊彦氏の引退を期に解散をすることになります。
現在、第一線で活躍している構造家は木村俊彦構造設計事務所出身の構造家に師事した設計者です。世代としては第五世代です。中でも注目されているのは佐々木睦朗構造計画研究所、金箱構造設計事務所出身の構造家です。二氏とも
数多くの優れた実績があり、師事したいと思う構造設計者が多く存在します。
実績と言えば、渡辺邦夫氏も二氏と並ぶくらいのものがありますが、若手構造家の中に構造設計集団 SDG出身が居ないのはやはり、朱雀メッセの事件の影響と思われます。
一方、横山建築構造設計事務所と同時期に創設された織本構造設計、構造計画研究所は現在も大手組織事務所として、多くの実績を残していますが、構造家と呼ばれる構造設計者は居ません。
構造家と呼ばれるのはアトリエ系事務所に限られるようです。
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