確認申請 構造図書の押印廃止(令和3年)

 

 
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令和3年1月23日公開
令和3年9月4日更新

 令和3年9月1日の建築士法改正により、構造計算安全証明書の押印も不要となりました。これで構造図書について完全に押印不要となりました。(令和3年9月4日追記)
 ※建築士法 該当新旧対照表

 令和2年の年末、12月23日に官報にて、確認申請図書における押印廃止が公示されました。施行は年末年始を挟んだ1月1日と準備期間もなく、情報も少ない中での改正でしたが、 ようやく運用も分かってきました。

 バタバタでの運用開始でしたが、押印が不要になる事は良いこと。押印が必要であったため、計算書、構造図を宅急便で納品していました。また、コンプライアンス上、印鑑を預けることも出来ません。 時代遅れだった対応が改善されます。

 ここでは構造図書(構造図、構造計算書、構造安全証明書)の扱いについて、まとめます。




改正前の押印書類

 まず、改正前に押印が必要であった確認申請における構造図書について、確認しましょう。

①構造図
構造図は全ての図面の押印が必要です。

  

②構造計算安全証明書
 構造計算安全証明書には押印を行い、構造計算書との表紙に割印が必要です。

  

 これは委託者様(建築主や意匠設計事務所等)へ交付します。尚、平成21年5月27日以降は構造設計一級建築士の関与が義務付けられる建築物について、構造設計一級建築士が自ら設計又は法適合確認を行い、その旨の表示をした場合にはこの証明書の交付は不要となりました。(法第20条第2項ただし書)

③構造計算書
 確認申請に添付する構造計算書には構造計算安全証明書の写し(コピー)が必要です。もちろん、構造計算安全証明書の交付義務がある場合です。そして、正本は上記②で割印を行った構造計算書表紙に再度、押印が必要です。

  


押印廃止後(改正後)の構造図書

 では改正後の構造図書の押印について、解説します。日本ERIのホームページより、以下となっています。



 これによると以下となります。

  • 確認申請書の添付図書及び書類(構造図、構造計算書)は設計者の押印が不要
  • 設計者印は廃止となるが、設計者氏名の記載は必要
  • 構造計算安全証明書は引き続き押印が必要 ⇒9月1日改正により、不要となりました。


  •  今回の押印廃止の改正は建築基準法施行規則の改正です。構造計算安全証明書の押印は建築士法で定められているため、現状では引き続き、押印が必要です。

     当然、構造計算安全証明書の交付が義務付けられていない場合は押印不要です。つまり、適判に廻る建物は確認申請に構造図書(構造図、構造計算書)への押印は一切不要となります。

     これなら、わざわざ、宅急便で構造図、構造計算書を納品(送付)する必要がなく、メールで送付するのみでOKとなります。構造計算安全証明書が必要な場合でも確認申請では写し(コピー)で良いのでスキャンしたものでOKです。 原本は郵送または手渡しが必要ですが。
     構造図をプリントアウトするコストも馬鹿になりませんので助かります。


    電子申請について

     ついでに電子申請について、説明します。
     押印廃止が公示される少し前の12月16日、「大林組が業界初、建築確認申請と構造計算適合性判定を電子申請で同時に実施」とのニュースがありました。

     現在、多くの建築確認、構造適判の申請は事前審査が実施されており、データで送付することが可能です。これと電子申請の何が違うかと言うと通常の申請では最終は“紙による提出”が行われ、許可となったものは審査期間の押印が行われ、返却されます。 これに対し、電子申請は紙による申請が不要であり、申請データに確認申請、適判許可の電子情報が付加されます。このデータを印刷した場合は許可済のマークが表示されます。
     尚、現在は適判では日本建築センター、建築確認では日本ERI、UDIが対応しています。

     許可になった図面、計算書をスキャンして保存などの手間もなくなりますのでおススメです。

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