「経済設計が得意です!」と言っている構造設計者、構造設計事務所。そのような人達がコストダウン手法と言っている方法には???なものが多数があります。
ここでは間違った構造経済設計手法を解説します。
柱、大梁の断面サイズは各階で揃えれば、数量が増えても型枠の転用が出来、型枠工事の単価が下がるのでコストが下ります!
答えは×、間違いです。
確かに型枠が転用出来れば、型枠大工さんは加工も少なく楽ですが、実際のところは単価は下がりません。型枠工事費は、1㎡当たりの単価、相場は他の工事費、材料と同じように物価本、インターネットに出されています。
もちろん、建物形状や技量によって、各会社の型枠工事費は変わりますが、この市場単価が基準となってしまいます。逆を言えば、通常よりも手間がかかる工事でも単価は上げづらいのです。
誰だって、常に手間が通常よりも多い事をアピールして、単価を上げたいものです。競合になっていれば別ですが、敢えて、単価を下げる会社はありません。
構造設計の設計料金もそうですよね。大変さをアピールして、設計料金を上げようとしますよね。
また、階数が少ないと型枠の転用も大して出来ません。大工さんも断面が小さくなれば、同じ型枠をずらして建て込む、小さい階に合わせて、大きい階は材料を継ぎ足して使うなどの工夫をしますので手間も大して変わりません。
そもそも、構造設計者が型枠工事の単価交渉が出来ますか?
各階で断面を変えた図面で見積りを取り、断面を揃えたら、単価を下げられるかと値交渉すれば下がるケースもありますが、構造計算をやり直す事になり、そこまでは出来ません。
柱、大梁は全て別符号とすれば、それぞれの必要最低限の断面、配筋が設計が出来、経済的な設計が出来ます!
答えは×、間違いです。
断面検定を行う部材が増え、頑張ってる感がありますが、このような設計をしていてもコストは下がりません。むしろ、上がります。
例えば、連続する大梁で柱の左右で主筋本数を変えても、引き通して、定着させる事になるので対して、数量は変わりません。また、全ての部材に別符号を付けても結果、ほとんど同じ配筋になっている事も多くあります。
何よりもこのような設計をする人は、応力をチェックする、調整するとの構造設計に必要な作業を放棄し、一貫構造計算プログラムの解析結果で部材がNGの部分の配筋、断面を増やすだけとの作業としている証拠です。
架構モデルや部材剛性を調整して、部材を納めるのが経済的な設計にもなるのです。このような事をしていると不経済になるだけならまだしも、モデル化のミスも発見出来ません。
確実に増えているのは、図面(部材リスト)の枚数、つまり、構造設計料金でしょう。
RC手摺をガラス手摺に変更、RC壁にサッシをつけて下さい。建物が軽量化出来、構造のコストが下がります!
答えは×、間違いです。
ガラス手摺、サッシの方がRC壁よりも価格が高いです。重量もたいして少なくなりません。
ガラス手摺は1m当たり、10万円近くになります。厚さ15cmのRC壁の価格は13,300円/㎡程度、これに仕上げの価格が加わってもRC壁の方が圧倒的に安いです。サッシも同様です。
一方、この変更による躯体重量の減少率はせいぜい、1、2%でしょう。構造設計ではわずかです。いわゆる、構造計算プログラムの不確実性の範囲であり、構造体のコストに影響するものにはなりません。
このような提案を行うのであれば、仕上げ材の価格も把握し、具体的な金額を示すべきでしょう。
インターネットでコスト的に有利になる工法、材料を見付けました!
答えは××。コストは多分、下がりません。
一番、ダメなパターンがこれです。
様々な会社が競争力、売上、利益を向上させるために新工法、新材料の開発に取り組んでいます。そして、以下のような宣伝文句を良く使います。
・コスト的に有利になる。
・工期が短縮出来る。
もちろん、このような工法の全てがダメだと言う訳ではありませんが、どんな条件の対しても万能な工法、材料はありません。条件にあった工法、材料を適切に選択することが経済設計になるのです。
このようなもの飛び付いてしまう人。まさに溺れる者は藁をも掴むです。詐欺に遭うタイプです。
そんな素晴らしい工法があるのなら、既に世の中で多く使われています。貴方だけ、特別に知ることが出来たなどはありません。